夜間頻尿について
夜間頻尿とは、睡眠中に排尿するために起きるために困っている状態をいいます。就寝中に1回以上トイレに起きることを夜間頻尿と定義されています。加齢とともに増えてくる症状で、必ずしも病気とは言えませんが、睡眠中に起きることで、転倒による骨折のリスクや、睡眠の質が悪くなり日中の眠気や倦怠感など日常生活に支障を来すこともあります。
夜間頻尿の患者さんの割合
夜間に1回以上起きる人の割合は男女ともに40代では40%前後、80代では80%を超えます。その中でも3回以上の割合は、男女ともに40~50代では10%以下ですが、60歳を過ぎると増え始め、80代では40%前後と報告されています。
夜間頻尿の原因
- ●夜間多尿
- 就寝中に作られる尿の量が多い状態をいいます。1日尿量のうち夜間の尿量が、高齢者で33%以上、若年者で20%以上の場合を夜間多尿といいます。
夜間多尿の原因として、寝る前の水分やアルコールの過剰摂取、塩分のとりすぎ、高血圧、糖尿病、腎障害、抗利尿ホルモンの低下、心不全などの内科の病気によるもの、睡眠時無呼吸症候群(睡眠時に一時的に呼吸が止まる病気で、いびきをかく人によくみられます)、薬剤の合併症などがあります。 - ●泌尿器科の病気
- 膀胱の蓄尿障害が原因であることがあります。あまり尿がたまっていない状態でも尿意を感じてしまう場合です。加齢、神経因性膀胱、過活動膀胱、前立腺肥大症、膀胱炎で生じることが多いですが、膀胱がんや前立腺がんに併発することもあります。
- ●睡眠障害
- 睡眠が浅いため、軽い尿意でも目が覚めてしまう状態です。または、目覚めたついでにトイレに行くことを夜間頻尿だと思ってしまうこともあります。
夜間頻尿の検査
当院では、尿検査、残尿量をチェックするため超音波検査を行います。患者さんに2-3日程度の排尿日誌をつけていただくことは診断に非常に有用です。排尿した時刻と排尿量を24時間にわたって記録することで、日中/就寝中の尿量や膀胱蓄尿障害がないかどうかがわかります。
その他、膀胱がん、前立腺肥大症、前立腺がんの有無、心機能、腎機能、糖尿病をチェックするための採血、睡眠時無呼吸症候群の有無などを調べることもあります。
夜間頻尿の治療
排尿記録や検査結果を参考にして原因をつきとめ、それに応じた治療をします。
生活習慣の見直しで改善される方もいます。飲水や食事については、過剰な水分摂取を控える、寝る3時間前(夕食後から)~寝る前のカフェインやアルコールを控える、塩分を摂りすぎないようにするといったことが有効だとされています。水分をたくさん摂ると血液がサラサラになり、脳梗塞や心筋梗塞が予防できると信じて寝る前や寝ている間にたくさんの水分をとる方がいますが、科学的根拠はありません。水分の摂りすぎで頻尿になっている場合は、むしろ水分を控えることが必要です。水分の多いサラダや果物は夕食では控えめにすることも有効です。適切な水分摂取量は体重あたり20ml(体重60kgの方は1200ml)を目安にすればよいといわれています。
生活習慣の見直しで改善しない場合には、投薬治療が考慮されます。夜間多尿には抗利尿ホルモンの薬があり、膀胱蓄積障害の場合は過活動膀胱の薬や前立腺肥大症の薬が用いられます。
睡眠障害の場合は、睡眠治療専門医の診療が必要な場合もあります。昼間の活動量減少や自律神経の乱れも睡眠に影響を与えますので、まずは生活リズムを整え、適度な運動を行うことで、改善が見込めることもあります。
夜間頻尿の症状は、場合によっては何らかの内科疾患のサインかもしれません。いずれにしても、夜間頻尿で悩んでいる場合には早めに泌尿器科へ相談をすることを推奨します。
